家族で集まる機会があり、少しきちんとした雰囲気のお店がよいと、あきる野にある「燈々庵」を利用しました。
都心から少し距離はありますが、その分だけ静けさに包まれた特別な時間を過ごせる場所、伺ったのは12月初旬は、紅葉がきれいな赤色に色づく時期、庭園の木々が色づき、とてもきれいでした。
大門をくぐるとゆったりとした時間が流れる世界へ

燈々庵の象徴ともいえるのが、けやきなどの木々に囲まれたこの大門、落ち着いた雰囲気は、歴史を感じさせてくれます。

懐石料理のコースは3種類、お料理の素材や品数でお値段が変わります。この日は、肉料理も楽しめる「風月」(11,000円)を予約しておきました。
江戸時代の米蔵を改装した、上質な懐石の空間

庭を抜けて進むと米蔵が見えてきました。

燈々庵の建物は、江戸期に建てられた二百余年の米蔵を改装したもの。重厚な梁や土壁、趣ある柱がそのまま生かされ、歴史の深みを感じる空気が漂います。

室内はやわらかい灯りが中心で、ほっとする落ち着いた雰囲気。料理や室内に生けられた花を柔らかく照らし、静かで上品な時間を演出してくれます。
座席からは、竹林と小川が流れる庭園を望むことができ、四季折々の風景を楽しみながら、穏やかに食事をいただけます。改まった席にもふさわしいこの落ち着きが、魅力のひとつです。
毎月献立が変わる「風月懐石」
どのコースも旬の食材を中心に組み立てられるため、内容は毎月変わります。月ごとに出合いが変わるのも楽しみのひとつです。

個々人の座席にはこの日の献立の説明が用意されていますので、これを読みながらお料理をひとつひとつ楽しみました。
前菜 限りの月大台旬菜 各種盛り込み

法蓮草浸しや勾玉豆腐、蕪の甘酢漬けなど、小さな器に季節が美しく並びます。それぞれの味わいが繊細で、口の中でやさしく広がる旨みが印象的なお料理ばかり。
中でもお気に入りなのは「勾玉豆腐」、名前の通り、カシューナッツで作られた豆腐、コクがある味わいが特徴です。
お椀 清汁仕立て

天蕪と鯛の焼き霜を合わせた清汁仕立てのはずだったのですが、鯛が入っていないお椀、食べ終えてから献立を見て鯛が入っていないことに気がつきました。
鯛が楽しめなかったのは残念でしたが、出汁の香りが心地よく、体にすっと沁み渡る一品でした。
造り 旬魚三種盛り

鯛と鮪のお造りです。鮮度の良さはもちろん、あしらいの美しさまで含めて目にも楽しいお料理。特に口の中でとろける鮪が美味しいもの。
焼物

焼物は、岩魚の唐揚げに白髪葱と甘酢餡がかかったもの。岩魚は2度揚げされているので、頭から尾まで丸ごといただけるもの。とても香ばしく、甘酢餡の穏やかな酸味がほどよく調和します。
カルシウム不足解消のためにも、頭から丸ごといただきました。
進肴

和牛石焼きは、熱々に熱せられた石に和牛が載せられて供されました。
和牛は塩と山葵で上質な旨みを引き出すシンプル、王道のスタイルでいただくもの。口に入れると肉汁が口の中に広がります。脂のさしがよいのかとても柔らかくてジューシー。もう少し食べたいと思ったものの、コース全体のボリュームを考えるとこのくらいがよいのかもしれません。
熱を帯びた石の上で焼き上げられる香りが食欲をそそります。
● 止肴

温州和えには歯ごたえがある野菜がさっぱりした味付けでまとまっています。蟹の身にとんぶりと豪華な内容。
飯・止椀

山芋ご飯のせいろ蒸しは、ふんわりとした食感に滋味深さが重なり、心がほっと和むような優し佃煮が美味しく、田舎味噌仕立ての椀とともに、食事の流れに静かな余韻を添えてくれます。
水物

オレンジヨーグルトプリンとサツマイモの冷たいお汁粉、お汁粉はとろとろで甘いもの。わずかですが甘いものがあると食事を楽しく終えられます。
どのお皿も丁寧な盛り付け、プレゼンテーションを意識したお料理ばかりのコースを楽しませてもらいました。
家族の会食や改まった席に選びたい理由
燈々庵は、
・静かで品のある空間
・ほどよく距離を保つ接客
・席間が広く、落ち着いて話せる環境
これらの要素が揃っているため、家族の節目や少し改まった会食にとても使いやすいお店です。
都心から距離があるにもかかわらず、「ここまで足を運んでよかった」と素直に感じられる特別感があるのは、景観・建物・料理・空気のすべてが調和しているからこそだと思います。
都心から離れるからこそ生まれる、“時間の贅沢”
あきる野「燈々庵」は、単に懐石をいただく場所ではなく、“時間そのものの豊かさ” を体験できる特別な空間だと思います。美しい庭園に囲まれながら、丁寧に設えられた室内で味わう四季の懐石、家族との会食や改まった席を安心して任せられるお薦めの懐石料理店です。
以前の訪問時のお料理は、過去のブログ記事で紹介しています。




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