小布施の街には栗菓子の老舗だけでなく、フランス菓子の名店も数多く存在します。その中でも特に人気の高いパティスリーが「ロント」。洗練されたケーキは地元でもファンが多く、訪れるたびに新しい発見があります。
今回、ロントで選んだのは2人で4種類のケーキ。どれも驚くほど完成度が高く、ひとつひとつに記憶に残る美味しさがありました。
お店の様子
ケーキの種類が多い時間がよいと、ランチの後、すぐにこちらへ。小布施の住宅地の中にある店舗、桜井甘精堂や小布施堂がある中心部から数分の場所です。
ロントの店内に一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのはガラスケースに並ぶ宝石のようなケーキたち。
この日のラインナップを写真で紹介すると・・・
その数は20種類を優に超え、まるで宝石箱を覗き込むかのような華やかさです。ひとつひとつが洗練された造形で、思わずどれにしようか迷ってしまうほどの美しさです。
店舗入り口近くには、パンや焼き菓子やマカロンが並びます。手土産や贈り物にもぴったりで、地元の方々が次々と訪れては選んでいく様子から、このお店が地域に根付いた存在であることを感じさせます。
スタッフの接客は控えめで丁寧。お客さまのペースを尊重しつつ、質問すれば素材やおすすめの組み合わせを快く教えてくださる姿が印象的です。その落ち着いた対応もまた、パティスリー全体の上質さを際立たせています。
華やかさと静けさが同居する空間で、ケーキを選ぶひとときそのものが特別な体験。小布施の街の静謐な雰囲気とも調和し、訪れるたびに心が満たされる時間を過ごせます。
ケーキ類はお持ち帰りするほか、店内のカフェスペースでいただくこともできます。この日はほかのケーキを食べに行く予定があるため、お持ち帰りでホテルでいただくことにしました。
いただいたケーキ
ペーシュメルバ
白桃のコンポートが主役のケーキ、丸い形からムースかと思っていただいてみると、桃そのものでびっくり。桃がジューシーでみずみずしい甘さが最初に広がります。
その後、カスタードクリームのコクが桃の甘さをやさしく包み込み、フランボアーズの酸味のアクセントを加えて味を引き締めます。軽やかな口当たりにより、全体は驚くほどエアリー。口に残るのは、桃の香りとフランボアーズのさっぱり感が織り成す爽やかな余韻です。
モンブラン
土台には軽やかなメレンゲが使われており、サクッとした食感と空気を含んだ軽さが特徴。上に重ねられたマロンクリームは、非常に柔らかくミルキーなお味、栗の香りよりもミルクの味わいが強く感じられます。
非常に軽い味わいで、サクッと食べられてしまうのですが、中の栗あんが上品な余韻をもたらします。
フォレノワール
濃厚なチョコレートのガナッシュにキルシュ漬けのチェリー、甘さと酸味を感じるもの、チョコレートはビターですが重すぎません。
チェリーに使われたアルコールと果汁がチョコレートを引き立てている感じ。生クリームの軽やかなミルキーさが全体をまとめ、最後にはほのかなカカオの苦みとチェリーの余韻が長く続く、クラシックでありながら完成度の高いケーキです。
ロント(スペシャリテ)
店名を冠したスペシャリテは、複数のレイヤーが繊細に重なり合い、ひと口ごとに味覚の印象が変化します。ショコラの深みに栗がバランスよく組み合わされ、味の広がりが生まれます。
甘さは控えめで仕上げられており、食後には、軽やかな余韻とともに「もう一度味わいたい」と思わせる後引きの美味しさが残ります。
まとめ
ロントのケーキは単なる甘味ではなく、「香り」「食感」「酸味や苦味のバランス」「後味の余韻」まで計算された完成度を誇ります。特に「ペーシュメルバ」の果実感、「モンブラン」の繊細さ、「フォレノワール」と、スペシャリテ「ロント」のチョコレートの深みは、それぞれが異なる魅力がある味わいでした。
ロントのケーキは、どれも美しく、そして驚くほどに美味しい一品ばかり。ペーシュメルバの華やかさ、モンブランの上品さ、フォレノワールの奥深さ・・・ひとつひとつに個性があり、食べ比べる楽しみも格別です。
ロントはケーキだけでなく、焼き菓子やパンなども美しくいただいてみたいと思うものばかり。
小布施を訪れる際には、ぜひロントでケーキや焼ろんd-とを選び、その特別な美味しさを堪能してみてください。きっと旅の思い出に残る甘い時間になるはずです。
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